2005-08-08-月 恠しくも我が身山木の萌ゆる哉思は人につけてし物を
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■詞花和歌集http://applepig.idv.tw/kuon/furu/text/waka/shika/shika_f.htm
巻七と巻八。
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■詞花和歌集 巻第七 恋上
187 戀の歌とて読み侍ける
恠しくも我が身山木の萌ゆる哉思は人につけてし物を
188 題不知
爭でかは思ひありとも知らすべき室の八島の烟ならでは
189 題不知
斯とだに言はで儚く戀死なば即て知られぬ身とや成なむ
190 堀川院御時、百首歌奉りけるに詠める
思兼ね今日たて初むる錦木の千束もまたで逢ふ由もがな
191 題不知
谷川の岩間を分けて行水の音にのみやは聞かむと思ひし
192 春立ける日、承香殿女御の許へつかはしける
よと共に戀ひつゝすぐる年月は變れど變る心地こそせね
193 承暦四年内裏歌合に詠める
我戀は夢路にのみぞ慰むるつれ無き人も逢ふと見つれば
194 新院位におはしましゝ時、殿上人御前に召して、寝覺の戀と云ふ事を詠ませ給けるに詠める
慰むる方もなくてややみなまし夢にも人の難面かりせば
195 寛和二年内裏歌合に詠める
命在らば逢ふ世もあらむ世中になど志ぬばかり思ふ心ぞ
196 左京大夫顯輔が家にて歌合志侍けるに詠める
よそながら哀と言はむ事よりも人傳ならで厭へとぞ思ふ
197 題不知
戀死なば君は哀といはずともなか/\余所の人や忍ばむ
198 つれ無き女につかはしける
いか計人のつらさを恨みまし憂身のとがと思ひなさずば
199 左衛門督家成が家に歌合し侍けるに詠める
いかならむ言葉にてかなびくべき戀しと云ふはかひなかりけり
200 題不知
我爲につらき人をばおきながら何の罪無き世をや恨みむ
201 女をあひかたらひける頃、よしありて津の國に長柄と云ふ所にまかりて、かの女の許につかはしける
忘るやと長らへゆけど身にそひて戀しき事は後れざりけり
202 題不知
年を経て燃ゆてふ富士の山よりも逢はぬ思ひは我ぞ勝れる
203 題不知
侘びぬればしひて忘れむと思へども心弱くも落つる涙か
204 題不知
思はじと思へばいとゞ戀しきは何ちか我が心なるらん
205 題不知
心さへ結ぶの神や作りけむ解くるけしきも見えぬ君かな
206 あだ/\しくもあるまじかりける女をいと忍びていはせ侍けるに、世に知りて、わづらはしきさまにきこえければ、言ひ絶えて後、年月を経て、思ひ餘りていひつかはしける
一度に思ひ絶えにし世中を如何はすべき賤のをだまき
207 三井寺に侍ける童を、京にいでばかならずつげよと契りて侍けるを、京へいでたりとは聞きけれども、おとづれ侍らざりければ、いひつかはしける
影見えぬ君は雨夜の月なれや出でゝも人に知られざりけり
208 さらにゆるぎげ無き女に、七月七日つかはしける
七夕にけさ引く糸の露重み撓むけしきを見でや已みなん
209 戀の歌とて詠める
身の程を思ひ知りぬることのみやつれ無き人の情なるらん
210 左衛門督家成が津の國の山庄にて、旅宿戀と云ふ事を詠める
詫びつゝも同じ都は慰みき旅寐ぞ戀の限なりける
211 冷泉院春宮と申ける時、百首歌奉りけるに詠める
風を痛み岩撃つ波の己のみくだけて物を思ふ頃かな
212 堀河院御時、百首歌奉りけるに詠める
我戀は吉野の山の奧なれや思ひいれども逢あふ人も無し
213 題不知
胸は富士袖は清見が關なれや烟も波も立たぬ日ぞなき
214 題不知
徒に千束朽ちにし錦木を猶こりずまに思ひ立つかな
215 春に成りて逢はむと頼めける女の、さもあるまじげに見えければ、いひつかはしける
山櫻つゐに咲くべきものならば人の心をつくさゞらなむ
216 堀河院御時、蔵人に侍けるに、贈皇后宮の御方に侍ける女を偲びて語らひ侍けるを、こと人にものいふときゝて、白菊の花にさしてつかはしける
霜置かぬ人の心は虚ろひて面変はりせぬ白菊の花
217 返し、女に代りてbr>
白菊の變らぬ色も頼まれず虚ろはでやむ秋しなければ
218 中納言俊忠家歌合に詠める
紅の濃染の衣うへにきむ戀の涙の色かくるやと
219 題不知
忍ぶれど泪ぞしるき紅にもの思ふ袖は染むべかりけり
220 文つかはしける女の、如何なる事かありけむ、今更に返事せず侍ければ、いひ遣はしける
紅に涙の色もなりにけり変るは人の心のみかは
221 左京大夫顯輔が家に歌合し侍けるに詠める
戀死なむ身こそ思へば惜からね憂きもつらきも人の咎かは
222 題不知
つらさをば君に傚ひて知ぬるを嬉しき事を誰にとはまし
223 女を恨みて詠める
嬉しきはいかばかりは思ふらん憂は身にしむ物にぞありける
224 比叡の山に歌合し侍けるに詠める
戀すれば憂身さへこそ惜まるれ同じ世にだに住まむと思へば
225 題不知
御垣守衛士の炊く火の夜は燃へ晝は消えつゝ物をこそ思へ
226 題不知
我戀は蓋身かはれる玉櫛笥いかにすれどもあふ方ぞなき
227 山寺に篭りて日頃侍りて女の許へいひつかはしける
氷して音はせねども山川の下に流るゝものと知らずや
228 關白前太政大臣の家にて詠める
風吹けば藻塩の烟かたよりに靡くを人の心ともがな
229 題不知
瀬を速み岩にせかるゝ瀧川の割れても末に逢むとぞ思ふ
230 題不知
播磨なる飾磨に染むるあながちに人を戀しと思ふ頃かな
231 冬の頃、暮に逢はむといひたる女に、暮らしかねていひ遣はしける
程も無くくるゝと思ひし冬の日の心もとなき折もありけり
232 家に歌合し侍けるに詠める
戀ひ詫びて獨伏せ屋によもすがら落つる泪や音なしの瀧
■詞花和歌集 巻第八 恋下
233 人しづまりて来、といひたる女の許へ、待ちかねてとく罷りたりければ、かくやは云ひつるとて出で逢はず侍ければ、言ひ入れ侍ける
君を我が思ふ心は大原や何時しかとのみ済みやかれつゝ
234 題不知
我戀は逢初めてこそ増りけれ飾磨の褐の色ならね共
235 女の許より曉帰りて、立ち歸りいひつかはしける
夜を深み歸し空もなかりしをいづくよりおく露に濡れ劔
236 左京大夫顯輔の家にて歌合し侍けるに詠める
心をば留めてこそは歸りつれ恠しや何の暮を待つらん
237 女の許より夜深く歸りて、朝に遣はしける
竹の葉に玉貫く露に非ね共まだ夜をこめておきにける哉
238 長月の晦日の日の朝、初めたる女の許より帰りて、立ち歸りつかはしける
皆人の惜む日なれど我はたゞ遲く暮れゆく歎きをぞする
239 左衛門督家成歌合し侍けるに詠める
住吉の浅澤小野の忘水たえ%\ならで逢ふよしもがな
240 藤原保昌朝臣に具して丹後國へまかりけるに、忍びてものいひける男の許へいひつかはしける
我のみや思ひおこせむ味氣なく人は行方も知らぬもの故
241 物言ひ侍ける女の許へいひつかはしける
思ふ事なくて過ぎぬる世中に遂に心を留めつるかな
242 夜離れせず参で來ける男の、秋立ける日、其の夜しも参でこざりければ、朝にいひ遣はしける
常よりも露けかりつる今宵かなこれや秋立つ始なるらん
243 女の許にまかりたりけるに、親のいさむれば今はえなむ逢ふまじき、と言はせて侍ければ詠める
せき止むる岩間の水も自から下には通ふものとこそきけ
244 題不知
逢事は疎に編める伊予簾いよ/\我を侘びさする哉
245 等戀兩人と云ふ事を詠める
いづくをも夜がるゝ事の割り無くに二に分くる我身ともがな
246 男に忘られて歎きけるに、八月ばかりに、前なる前栽の露をよもすがらながめて詠める
諸共におきゐる露のなかりせば誰とか秋のよを明さまし
247 題不知
來たり共寝るまもあらじ夏の夜の有明月も傾ぶきにけり
248 新院位におはしましける時、雖契不來戀と云ふ事をよませ給けるに読み侍ける
來ぬ人を恨みもはてじ契りおきし其言の葉も情ならずや
249 題不知
夕暮に物思ふ事は増るかと我ならざらむ人にとはゞや
250 月の明かりける夜、参うで來たりける男の立ちながら歸りければ、朝にいひ遣はしける
泪さへ出でにし方を眺めつゝ心にもあ在らぬ月を見し哉
251 題不知
つらしとて我さへ人を忘れなばさりとて仲の絶や果つべき
252 題不知
逢ふ事や泪の玉の緒なるらん暫し絶ゆれば落ちて亂るゝ
253 弟子なりける童の、親に具して人の國へあからさまにとてまかりけるが、久しく見え侍らざりければ、たよりにつけていひ遣はしける
御狩野の暫しの戀はさもあらばあれ背り果ぬるか矢形尾の鷹
254 頼めたる男を今や/\と待ちけるに、前なる竹の葉に霰の降り掛かりけるを聞きて詠める
竹の葉に霰降るなりさら/\に獨は寝べき心地こそせね
255 程無く絶えにける男の許へいひ遣はしける
ありふるも苦しかりけりながゝらぬ人の心を命ともがな
256 通ひける女の、別人に物言ふと聞きて、いひ遣はしける
浮ながら流石に物の悲しきは今は限と思ふ なりけり
257 久しく音せぬ男につかはしける
とはぬ間をうら紫に咲く藤の何とて松にかゝりそめけむ
258 男の絶え%\になりける頃、如何と問ひたる人の返事に詠める
思ひやれ懸樋の水の絶え%\に成り行く程の心細さを
259 いとほしく侍ける童の、大僧正行尊が許へまかりにければ、いひ遣はしける
鶯は木伝ふ花の枝にても谷の古巣を思ひ忘るな
260 返し、童に代りて
うぐひすは花の都も旅なれば谷の古巣を忘れやはする
261 左衛門督家成、長月の晦日頃に初めていひそめて、如何なる事かありけむ、絶えて音づれ侍ざりければ、其冬頃、聞く事のあればはゞかりてえなむいはぬ、と言はせて侍ける返事に詠める
夜を重ね霜と共にし置きゐればありしばかりの夢だにも見ず
262 家に歌合し侍けるに、逢うて逢はぬ戀と云ふ事を詠める
逢ふ事も我が心よりありしかば戀は死ぬとも人は恨みじ
263 家に歌合し侍けるに、逢うて逢はぬ戀と云ふ事を詠める
汲み見てし心一つを知るべにて野中の清水忘れやはする
264 關白前太政大臣の家にて詠める
淺茅生に今朝置く露の寒けくに枯にし人のなぞや戀しき
265 心変りたる男にいひつかはしける
忘らるゝ身は理と知り乍思ひあへぬは泪なりけり
266 久しく音せぬ男にいひ遣はしける
今よりは訪へともいはじ我ぞ唯人を忘るゝ事を知るべき
267 中納言通俊絶え侍ければ云ひつかはしける
さりとては誰にかいはん今は唯人を忘るゝ心教へよ
268 返し
未だ知ぬ事をば如何が教ふべき人を忘るゝ身にし非ねば
269 同じ所なる男のかき絶えにければ詠める
幾返りつらしと人をみ熊野の恨めしながら戀しかるらむ
270 大江公資に忘れられて詠める
夕暮はまたれしものを今は唯行くらむ方を思ひこそやれ
271 題不知
忘らるゝ人目ばかりを歎きにて戀しき事のなからましかば
2005-08-07-日 五月雨はなには難波江の澪標見えぬや水のまさるなるらむ
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■詞花和歌集 巻第三 秋
082 題不知
山城の鳥羽田の面を見渡せば穂のかにけさぞ秋風はふく
083 津の國にすみ侍ける頃、大江為基任はてゝのぼり侍ければ、いひつかはしける
君すまばとはましものを津の國の生田の杜の秋のはつ風
084 七月七日、式部大輔資業がもとにて詠める
萩の葉にすがく糸をも小蟹は棚機にとや今朝は引くらむ
085 御髮落させ給ての七月七日詠ませ給ける
棚機に衣もぬぎてかすべきにゆゝしとや見む墨染の袖
086 承暦二年内裏歌合に詠める
棚機に心は貸すと思はねどくれゆく空は嬉しかりけり
087 題不知
いかなればとだえそめけむ天の川逢ふ瀬に渡す鵲の橋
088 新院の仰にて百首歌奉りけるに詠める
天の川横ぎる雲や棚機の空薫物の烟なるらん
089 寛和二年内裏歌合に詠める
おぼつかな變りやしにし天の川年に一度渡る瀬なれば
090 七夕に詠める
天の川玉橋急ぎわたさなむ淺瀬辿るも夜の更けゆくに
091 橘俊綱朝臣の伏見の山庄にて、七夕後朝の心を詠める
逢夜とは誰かは知らぬ棚機の明くる空をも包まざらなん
092 橘俊綱朝臣の伏見の山庄にて、七夕後朝の心を詠める
棚機の待ちつる程の苦しさとあかぬ別と何れまされる
093 題不知
天の川歸らぬ水を棚機は羨ましとや今朝はみるらん
094 三條太政大臣の家にて八月十五夜に、水上月と云ふ事を詠める
水清み宿れる秋の月さへや千代まで君と澄まむとすらむ
095 題不知
いかなれば同じ空なる月影の秋しもことに照りまさるらん
096 家に歌合し侍けるに詠める
春夏に空やは變る秋の夜の月しもいかで照りまさるらん
097 月を御覽じて詠ませ給ける
秋に又逢はむあはじも知らぬ身は今宵計の月をだにみむ
098 題不知
ありしにも非ずなりゆく世中に變らぬ物は秋の夜の月
099 關白前太政大臣の家にて詠める
秋の夜の月の光の洩る山は木の下かげもさやけかりけり
100 比叡山の念佛に昇りて、月を見て詠める
天つ風雲吹きはらふ高嶺にているまで見つる秋の夜の月
101 京極前太政大臣家歌合に詠める
秋の夜は月に心の隙ぞ無き出るを待つといるを惜むと
102 關白前太政大臣の家にて、八月十五夜の心を詠める
引く駒に影を並べて逢坂の關路よりこそ月はいでけれ
103 左衛門督家成が家に歌合し侍けるに詠める
秋の夜の露も曇らぬ月を見ておき所無き我が心かな
104 月を待つ心を詠める
秋の夜の月待ちかねて思ひやる心幾度山をこゆらむ
105 月浮山水と云ふ心を詠める
秋山の清水はくまじにごりなば宿れる月の曇りもぞする
106 寛和二年内裏歌合に詠ませ給ける
秋の夜の月に心のあくがれて雲居にものを思ふ頃かな
107 題不知
一人居て詠むる宿の荻の葉に風こそわたれ秋の夕暮
108 題不知
荻の葉にそゝや秋風吹きぬなり零れやしぬる露の白玉
109 題不知
秋吹くはいかなる色の風なれば身にしむばかり哀なるらん
110 題不知
み吉野の象山蔭に立てる松いく秋風に磯馴れきぬらん
111 題不知
荻の葉に露吹き結ぶ木枯のおとぞ夜寒になりまさるなる
112 霧を詠める
夕霧に梢も見えず初瀬山入あひの鐘の音ばかりして
113 法輪へ詣うでけるに、嵯峨野の花面白くさきて侍ければ、見て詠める
秋の野の花見る程の心をば行くとやいはむ止るとやいはん
114 賀茂の齋ときこえける時、本院の透垣に朝顔の花咲き懸かりて侍けるを詠める
神垣に懸かるとならば朝顏もゆふかくる迄匂はざらめや
115 堀河院御時、百首歌奉りけるに詠める
主やたれきる人なしに藤袴見れば野毎に綻びにけり
116 白河院、鳥羽殿にて前栽合わせさせ給けるに詠める
朝な/\露重げなる萩の枝に心をさへもかけて見る哉
117 白河院、鳥羽殿にて前栽合わせさせ給けるに詠める
荻の葉に言問ふ人も無き物を來る秋毎にそよと答ふる
118 題不知
秋の野の草叢ごとに置く露は夜無く蟲の涙なるべし
119 題不知
八重葎しげれる宿は終夜蟲の音聞くぞとりどころなる
120 題不知
鳴く蟲の一つ聲にも聞えぬは心/\にものや悲しき
121 陸奥國の任果ててのぼり侍けるに、尾張國鳴海野に鈴蟲の鳴き侍けるを詠める
古里にかはらざりけり鈴蟲の鳴海の野邊の夕暮の聲
122 天禄三年女四宮歌合に詠める
秋風に露を涙となく蟲の思ふ心をたれにとはまし
123 駒迎を詠める
逢坂の杉間の月のなかりせばいくきの駒と爭でしらまし
124 永承五年一宮歌合に詠める
聞く人のなどか安からぬ鹿の音は我妻をこそ戀て鳴くらめ
125 題不知
秋萩を草の枕に結ぶ夜は近くも鹿の聲を聞くかな
126 九月十三夜に、月照菊花と云ふ事を詠ませ給ける
秋深み花には菊の關なれば下葉に月も漏りあかしけり
127 關白前太政大臣の家にて詠める
霜枯るゝ始めと見ずば白菊の移ろふ色を歎かざらまし
128 題不知
今年又咲くべき花のあらばこそ移ろふ菊に離れをもせめ
129 題不知
草枯の冬まで見よと露霜の措きて殘せる白菊の花
130 宇治前太政大臣、白河にて、見行客と云ふ事を詠める
關こゆる人にとはゞや陸奥の安達の檀紅葉しにきや
131 武藏國より上り侍けるに、三河國両村山の紅葉を見て詠める
幾らとも見えぬ紅葉の錦哉誰両村の山といひけむ
132 寛治元年太皇太后宮歌合に詠める
夕されば何か急がむ紅葉の下てる山は夜も越えなん
133 題不知
山里は往來の道も見えぬまで秋の木の葉に埋もれにけり
134 春より法輪寺に籠りて侍ける秋、大井河に紅葉の閑無く流れけるを見て詠める
春雨の綾織り懸けし水の面に秋は紅葉の錦をぞ敷く
135 雨後落葉と云ふ事を詠める
名殘無く時雨の空は晴れぬれどまた降る物は木の葉なりけり
136 月の明き夜、紅葉の散るを見て詠める
荒果てゝ月もとまらぬ我宿に秋の木の葉を風ぞふきける
137 一條攝政家障子に、網代に紅葉の隙無く寄りたるかたかきたる所に詠める
秋深み紅葉落ちしく網代木は氷魚の夜さへ明く見えけり
138 初霜を詠める
初霜も置にけらしな今朝見れば野邊の淺茅も色付きにけり
139 雨中九月盡と云ふ事を詠める
何方へ秋の行くらん我が宿に今宵ばかりは雨宿りせよ
■詞花和歌集 巻第四 冬
140 題不知
何事も行きて祈らむと思ひしに神無月にもなりにける哉
141 題不知
楸生る澤邊の茅原冬くれば雲雀の床ぞ現れにける
142 家に歌合し侍けるに、落葉を詠める
梢にてあかざりしかば紅葉の散りしく庭を掃はでぞみる
143 題不知
色/\にそむる時雨に紅葉は爭ひかねて散りはてにけり
144 題不知
山深み落ちて積れる紅葉の乾ける上に時雨降るなり
145 落葉埋水と云ふ事を詠める
今更に己が住處を立たじとて木の葉の下に鴛ぞ鳴くなる
146 落葉有聲と云ふ事を詠める
風吹けば楢の枯葉のそよ/\と云合せつゝいづち散るらん
147 題不知
外山なる柴の立枝に吹く風の音聞く折ぞ冬は物憂き
148 題不知
秋はなほ木の下蔭も暗かりき月は冬こそ見るべかりけれ
149 東山に百寺拝み侍けるに、時雨のしければ詠める
諸共に山廻りする時雨哉ふるにかひ無き身とは知らずや
150 旅宿時雨と云ふ事を詠める
庵さす楢の木蔭に漏る月の曇ると見れば時雨降るなり
151 天暦御時、御屏風に、網代に紅葉おほく寄りたるかたかきける所に詠める
深山には嵐やいたく吹きぬらん網代もたわに紅葉つもれり
152 鷹狩を詠める
霰ふる交野の御野の狩衣濡れぬ宿かす人しなければ
153 堀河院御時、百首歌奉りけるに詠める
山深みやく炭がまの烟こそやがて雪げの雲となりけれ
154 大和守にて侍ける時、入道前太政大臣の許にて、初雪を見て詠める
年を経て吉野の山にみなれたる目に珍らしき今朝の白雪
155 題不知
日暮に山路のきのふ時雨しは富士の高嶺の雪にぞありける
156 題不知
奥山の岩垣紅葉散りはてゝ朽葉が上に雪ぞつもれる
157 新院位におはしましゝ時、雪中眺望と云ふ事を詠ませ給けるに読み侍ける
紅に見えし梢も雪降れば白木綿かくる神奈備の森
158 題不知
待つ人の今も來らば如何せむ踏まゝく惜しき庭の雪哉
159 歳暮の心を詠める
數ならぬ身にさへ年の積るかな老は人をもきらはざりけり
160 題不知
魂祭る年の終になりにけり今日にや又も逢はむとすらむ
■[BOOK MARK]メモ
■舞台探訪のススメhttp://www7a.biglobe.ne.jp/~uso9000/
>急遽コピー本を出します
今は多分修羅場に居ますね、頑張って下さい。
■佐瑠女神社の例祭ポスター(きりんごミステリーさんより)
http://www.nnc.or.jp/~kururin/job.html
USOさん、メール有難う御座います。
■あの光の姫のナイトは!?(Yayoi's Detective Officeより)
http://www2.tokai.or.jp/yayoi/
浩司さん!!どうみても浩司さんですよね!!
■だよもんフィルタ(輝く季節なんて、ない。より)
http://dayomon.org/
テスト、テスト、テスト、テスト、テスト、テスト、テスト。
中国語メインのサイトは不対応のようですね...
kuonkizuna 2005/08/10 00:48 ああ、実はusoさんから色々聞いたことがあります。